【生活相談員】デイ・ショートステイの稼働率を上げる方法 そのために意識すべきこと

社会福祉士
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 こんにちは『福祉のほしクズ』です。

 今回は、デイやショートステイの生活相談員向けに、稼働率をアップさせるために必要なことについてお話していきます。

 「稼働率」と聞くと、胸がざわつくのは私だけではないはずです。月末や年度末の区切りの時期はもちろん、キャンセルやご利用者の入院・永眠の話を聞くたびに…

「あ~、また稼働が下がってしまう…」

「こんなに予定が入っていたのに、この抜けた穴をどうやって埋めればいいんだよ。」

 こんな想いに苛まれる日々が訪れます。

 そんな報告をしようものなら、施設長や上司からは…

「この空いたところは、どうやって対応するつもりなの?」

「稼働率が下がるってことは、収入が下がることなんだよ。意味わかってる?」

などと攻め立てられたりします。

○ご利用者やご家族のために支援していきたい

○もっとご利用者と関わる時間を持ちたい

 人との関わりを生業とする生活相談員ですが、気づけば数字とのにらめっこばかりなんて事も…

 しかし、一方では…

 「稼働率」は、生活相談員として働いている以上、常に意識しなければならないキーワードのひとつです。また、生活相談員にとって稼働率は、自分が評価される指標でもあります。

 私も「稼働率」には、何度も苦しめられてきました。ご利用者から好かれていたり、カルテを綺麗にまとめることができたりしていても、稼働率が悪ければ、結局のところ評価されません

 正直、稼働率が良ければ(安定していれば)施設長や上司から文句や嫌みを言われることはありません。思う存分、ご利用者に関わったり、職員や他事業所とコミュニケーションをとることができます。

 今回は、そんな生活相談員にとって悩みの種である「稼働率」をアップさせるために必要なことについてお伝えしたいと思います。

稼働率をアップに必要なのは、「コミュニケーションの方法」を意識することです。

 では、そのコミュニケーションについてどのように実践していけば良いのか。

 具体的な内容も例にあげながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んで頂けると嬉しいです。

 ちなみに私「ほしクズ」とは…

●生活相談員歴16年(社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士実習指導者)

●デイサービス、ショートステイ、施設入所の生活相談員を経験

●従業員1,400人以上の社会福祉法人にて「認知症介護」「施設経営」「研修講師」などのノウハウを叩きこまれる

●理想と現実の狭間で悩み、うつ病を発症

●自分の内面と向き合い、自分を見つめ直すため「毎日が自己覚知」と決意

●自分のやり方、行動変容にて「他者理解」を意識した行動を意識

 こんな感じで生きてきました💦

 この16年の経験の中で、自分自身が成長し、常に意識するようになったこと、そして生活相談員に最も必要で、最も大切な要素、これが稼働率アップに必要なことになります。

 それは…「コミュニケーションへの意識」です。

 「えっ⁈コミュニケーションなんて、当たり前でしょ!」

 って思いますよね。そう、コミュニケーションは生活相談員にとって当たり前に必要なことです。でも、多くの人がコミュニケーションを「ただ伝える」だけの手段として使ってしまっています。

 ここに大きな落とし穴があります。

 生活相談員に必要なコミュニケーションは、「話すことがうまい」とか「論理的に話せる」とかではないんです。

コミュニケーションとは、「お互いのメッセージを共有すること」です。

 このことが意識できているのといないのとでは、成果が全く違ってきます。では、「なぜ稼働率アップにコミュニケーションが必要なのか」を解説していきます。

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サービスを利用するまでの流れ

 稼働率をあげるためには、自施設のサービスを利用してもらう必要があります。

 デイサービスやショートステイなどは、概ね次のような流れで利用につながります。

1,ケアマネジャーから新規の相談がある
2,現場の介護職員及び看護職員等に、利用の相談をする
3,ご利用される本人及びご家族等に、サービスの概要や料金を説明し、利用契約を締結
4,サービスの利用を開始する
5,利用を継続してもらう

 この流れの中では、必ず「コミュニケーション」が必要になってきます。

 ケアマネジャーとの相談、ご家族への説明、利用者本人への面談などの場面です。では、それぞれの場面でのコミュニケーションの重要性についてお話していきます。

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ケアマネジャーからの相談場面におけるコミュニケーション

 新規にご利用者を獲得するには、ケアマネジャーから新規のご利用者を紹介してもらう必要があります。ご家族が直接施設に相談にくる場合もありますが、多くはケアマネジャーからの相談になります。

 このケアマネジャーとのやり取りにコミュニケーションが必要になります。

 コミュニケーションとは「お互いのメッセージを共有すること」とお話しました。

 ケアマネジャーからの相談には、どのようなメッセージが込められているのか想像してみましょう。

●このような状態の方を受け入れてくれるだろうか?
●ご家族から希望があったけど、空きはあるだろうか?
●希望の日数は確保できるだろうか?

  このような気持ちで、相談をしてくると思われます。まずは、この相談に込められた相手の気持ちにきちんと配慮する事が必要です。

やってはいけない対応

 希望日数に空きがなかったり、難しいケースだからといって、すぐに断ったりしていないでしょうか?

ケアマネジャー
ケアマネジャー

 新規ご利用の希望の方がいてお電話しました。

 要介護3で認知症の症状があり、なかなか落ち着かない様子がある方なんですが…

週3回で利用希望されているんけど,,,

相談員
相談員

 落ち着かない様子だと、外に出て行っちゃう可能性がありますよね。

あと週3回は、今空きがないので無理です。

 このような対応した場合、相手のケアマネジャーは2度とあなたには相談したくないと感じるでしょう。そこまで極端に感じていなくても、嫌な想いをしていることは想像できるはずです。

 ケアマネジャーから新規のご利用者を紹介してもらわなければ、新規ご利用者の獲得は難しくなる中で、相手の立場に立った対応ができないと、次につなげることはできません。

良い対応

 今回のケースで、相手の気持ちに配慮した対応はどのような形になるでしょうか?

 ポイントとしては、たとえ難しいケースであったとしても、こちらとして出来る対応をお伝えする事が重要になります。

相談員
相談員

 新規の相談ありがとうございます。

 認知症でなかなか、落ち着かれないんですね。例えばご自宅で落ち着いている時間や好きなお歌などはありますか?受け入れを検討するにあたって参考にさせて頂きたいので、確認してみて下さい。あと、週3回を定期でご利用頂くのは難しいのですが、月と水は空きがあるので、月水と+1日をキャンセル待ちという形であれば可能ですので、ご家族と相談してみて下さい。

 どうでしょうか?ケアマネジャーからすると、条件が合えば「利用できる可能性を提示してもらえている」「きちんと考えてくれている」という印象を持つのではないでしょうか?

 事業所側も、定期の空き+キャンセル待ちであれば、キャンセルが出た時に利用してもらえるメリットがある対応です。

 このように、相手の気持ちに配慮した対応(コミュニケーション)をすることにより、連絡・相談しやすい事業所(相談員)という印象を持ってもらう事ができ、また相談してみようという気持ちにする事ができます。

 相談が多く寄せられれば、それだけ稼働率アップにつながる可能性が高くなります。

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現場の介護職員、看護職員への説明場面

 折合がつき、利用を受け入れを検討する段階で、現場への報告が必要になります。その時の伝え方においても「コミュニケーション」が重要になります。

やってはいけない対応

 利用者を実際に介護するのは現場の職員です。利用が決まっていたとしても一方的な伝え方になっていないかふり返ってみる必要があります。

相談員
相談員

来週から要介護3認知症の方が利用になります。

落ち着かない時は、動きますけど転倒リスクについては伝えてあります。

介護職員
介護職員

 夜は寝てくれるんですか?動き回るようだと対応できませんよ。

 落ち着かないって、常にですか?どうすればいいのか分かりません。

相談員
相談員

 いやっ、もう決まった事なんで、あとは現場で対応してください。稼働率も厳しい状況だし、新規を受けていくしかないでしょ。

 現場の職員の気持ちや不安に対して、全く配慮がなく一方的に受け入れを決めてしまっているのが伝わってきます。この対応だと、現場は相談員への反発を強めていきます。

 ご利用者を受け入れるのは、介護現場です。介護現場を置き去りにした対応は絶対にダメです。

良い対応

 利用の相談をしている段階で、利用したことをイメージして想定される様子やリスクを考え、できるだけ不安なく利用してもらうための方法を考えておく事が重要です。

 要介護3で認知症の女性が新規でご利用になります。

 日中、少し落ち着かない様子が見られ、外に出ていくような様子も見られます。家にいても「帰りたい。」と動くことがあるようです。動かれるので転倒リスクもありますが、私としては受け入れをしていきたいと思っていますが、どうでしょうか?

 帰りたくなる理由って何ですかね?何か情報があれば対応できるか考えます。あとは、何かお好きな活動とか趣味なんかがあれば、利用中に提供できるか考えてみますが…

どうやら昔、畑仕事を一生懸命していたそうで、夕方5時くらいに家に帰ってご飯の準備をするのが日課だったみたいです。それが理由で「帰りたい。」っていう言葉を発している可能性があります。子供が自立してからは、よく近所の友人とカラオケに行ったりしていたみたいなので、お歌はお好きですし、婦人会にも積極的に参加していたみたいですよ。

 なるほど、それは有益な情報ですね、そのへんをヒントにこちらでの対応を考えてみます。また、必要な情報があればお聞きするので、お願いしますね。

 対応を検討して頂き、ありがとうございます。私も何か情報があれば追加でお伝えしますね。よろしくお願いします。

 このように一方的でなく、現場の声にもきちんと耳を傾け、不安を解消できるように一緒に考えていく姿勢が必要です。話しやすい環境を作ることにより、現場と相談員が連携して課題解決のために協力する事ができます。

 多少の困難なケースも現場に相談しやすくなりますので、受け入れるご利用者の状態に広がりが出てきます。様々なケースに対応できる事業所にすることで稼働アップにつながります

ご利用者・ご家族への対応

 ご利用者やご家族は、利用にあたって分からないことや安心して利用できるかなど、不安を抱えています。

 ご利用したあとも、ご本人やご家族の要望やお気持ちをお聞きし、対応していく必要があります。誠意ある対応をすることにより、利用を定期的に継続してもらえるようになります。

 時には難しい要望もありますが、どんな内容であっても

検討するようにしましょう。難しければ、代替え案を提示しましょう

 最初から、「無理です」「できません」絶対にNGです。

コミュニケーションだけで大丈夫か?

 でも本当にコミュニケーションが、稼働率アップにつながるのか疑問を持つ方もいることでしょう。

 人間ですから、話が合わない人や苦手な人はいますし、何を言ってもなかなか伝わらない人はいます。結果的に分かり合えない場合もあるでしょう。

 しかし、それを含めてコミュニケーションなんです。

 人間は、育ってきた環境も性格も価値観もみんな違います。ですので、「分かり合えない」「伝わらない」っていう事があって当たり前なんです。

 問題はそのあと。

うまくいかなかったから、コミュニケーションが失敗した思わないこと

 です。

 うまくいかなかった時は、そういう価値観に触れたこと、自分のコミュニケーションをふり返るきっかけをもらったと考えましょう。

 コミュニケーションは、生活相談員最大の武器です。

 自分のコミュニケーションを知り、コミュニケーションの幅を広げていくことで、相談しやすい、話しやすい相談員へと成長していくことができます。

 新規相談を受けるのも、現場に説明するのも、ご利用者やご家族に対応する事も、全てコミュニケーションです。

 ですので、稼働率アップにはコミュニケーションが重要であると言えます。

サービスにつなげる前提として必要であるということ

 コミュニケーションの重要性について理解し、実践することは、稼働率アップにつながるきっかけになります。これは、まず身につけてほしいスキルです。コミュニケーションは基本です。

 その後は、アセスメントやインテーク・カルテなどをまとめ、介護現場が不安なく受け入れられる準備が必要になります。いくらうまく伝えられたとしても、その後のフォローがなければ、いつまでも不安は付きまといます。

 コミュニケーションを基本として、その他の部分に配慮していく力も必要になることを理解しておきましょう。

まとめ

 コミュニケーションの重要性とコミュニケーションが、稼働率アップにつながる理由について解説してきました。

 生活相談員の最大の武器は「コミュニケーション」です。

 自身のコミュニケーションをふり返り、成長していくことが稼働率アップにつながっていきますので、自身の武器を磨いていく努力を継続していきましょう。

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