こんにちは、『福祉のクズきち』です。
皆さんの施設にも認知症の症状を抱えられているご利用者がいらっしゃいますよね。
認知症といっても、その方それぞれに抱えられている不安があり、症状があり、想いがあります。
今回の記事では、あるご利用者への関わりについての実践の記録をまとめていきたいと思います。認知症の方への関わりに悩む介護職員とともに、その方の想いに触れ、安心して過ごして頂くための取り組みです。
検討となるきっかけ
身体拘束防止委員会でのお話
ある介護職員より、今回の事例についての問題提起ありました。
ホールで過ごされている時や食事の時間など問わず「わあー、わあー」と大きな声で叫ぶご利用者がいます。声を出すきっかけや時間帯も分からず、食事中にも大きな声を出すため、他のご利用者から「うるさいよ。」「静かにしてて。」と苦情が上がっています。
ご本人に理由を聞いてみても「自分は耳が遠いから、大きな声だとは思わない。」「こんなに呼んでも誰も来てくれないから声を出している。」と話されます。その都度、可能な範囲で職員が駆け付けてお話を聴いても変わりません。本を用意したり、テレビを視てもらっても声を出すことがあります。
他のご利用者の迷惑になるので、あまりに収まらない時は、居室で寝てもらっています。ご本人は、居室内でも声を出し続けられることがあります。起こしてほしいということもあります。
ご本人の意に反して、このような対応をすることは、拘束や虐待にあたるのではないかと心配です。
ここで問題となるのが、安易に居室対応としたことだと思います。
「他のご利用者の迷惑」という理由で、ご本人の意思確認が十分行われない中、その場だけの問題を解決しようといただけ…
ご本人のアセスメントや関わった記録の積み重ねがないまま、このような対応が行われてはいけないと思います。
対象となるご利用者
T.B様(女性) 98歳 要介護3
既往歴:老人性認知症
○移動は車椅子使用し介助が必要。食事はご自分で召し上がられるが、衣類の着脱や排せつなど、日常生活全般に介助を必要としている。
○その場でのお話については返答して下さるが、すぐに忘れてしまう。
大きな声を出すようになった要因
まずご本人に、お話をお聞きした中で、
「こんなに呼んでいるのに誰も来てくれない。寂しい。」
という言葉が聞かれました。
職員に確認したところ、当施設で新型コロナウイルスのクラスターが発生した際に、ご利用者全員を居室内での対応とし、数カ月間は基本的に居室内で過ごしてもらう状況でした。
その中で、徐々に大きな声を出すようになっていったとういう事です。
要因のひとつとして、
という事が分かりました。
この内容を踏まえて、週明けにご本人への関わり方についての検討をする予定です。
検討するポイントとしては…
・居室でして頂く場合の過ごし方やその理由について明確にすること
・パーソンセンタードケアに基づく『ひもときシート』の活用を検討すること
・職員として困っていることから、ご利用者が困っていることへの思考転換をすること
現状の関わり方では、
不適切なケアの連続は、いずれ高齢者が虐待につながっていく可能性があります。今回、このケースを問題として提起してくれた職員に対しては、本当に良かったと思います。
ご本人の生活のために、少しでも前に進んでいけるように、まずはきちんと話し合いをしていきます。
検討の結果は、次の記事でご紹介します。
最後まで読んで頂きありがとうございます。皆さんも今回のようなケースの場合、どのように考えるのか、検討するきっかけにして頂ければと思います。