【保存版】介護事故の対応 特養で事故が起きた時の生活相談員の対応方法について解説(※具体例あり)

介護に困ったときどうする?
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 こんにちは『福祉のほしクズ』です。

 今回は、特養やその他の事業所において、転倒や骨折などの事故が起きた時の生活相談員の対応について解説していきます。

 施設では、転倒やそれによる骨折事故などが起きることがしばしばあります。限られた人数で、多くのご利用者のケアを行っている特養などでは、全てのご利用者を100%安全に見守ることは難しいですよね。

転倒などの事故は、完全に防ぐことはできないんです。

 しかし、ご利用者の家族からすると、信頼して預けている事業所で事故が起こってしまった場合、少なからず不信感を持ったり、疑問を感じたりするのは当然です。場合によっては、損害賠償を請求されたり、裁判になったりするケースもあります。

 このような状況にならないためにアプローチしていくのが、生活相談員の役割です。

転倒や転落など、ネガティブ事象が発生した場合、一番大切なのはスピード感をもって対応する

 これが一番重要です

 対応が遅くなればなるほど、ご家族の中には負の感情が沸き上がってきます。

 起きてしまった事は仕方がない事なので、誠意とスピード感を持って対応しましょう。そのための対応手順について、解説していきます。

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事故発生後の対応① 事実確認をする

 まずは、事故が発生した状況や場所など、事実確認を正確に行います

 正確に…です! ※大事なので2回言います。

 ここで注意点があります。

ここで行うのは、事実確認であり、犯人探しではありません

 事故が発生すると、誰しもが嫌な気持ちになります。特に当事者(発見者)は気が動転してしまい、不安な気持ちでいっぱいになります。

 この状況で、「なんでちゃんと見てなかったのか?」「誰の担当する時間だったのか?」など誰に責任があるのかを問い詰めて意味がありません

 犯人にされたくないどうしていいかわからない、という気持ちの中では、正確な情報を得ることができないからです。

 生活相談員は、このような状況下では、できるだけ落ち着いた口調で、当事者(発見者)だけでなく、その場に関わった職員に対して、起こった時の事実確認をしていきます。

 事実確認のポイントとしては…

〇いつ(分かるようであれば「正確な時間」まで

〇どこで(居室など広い範囲ではなく、居室の「どの場所なのか」より具体的に

〇どのような状態(「転倒されていた」ではなく、「左半身を下にしている状態で、ベッド脇にある車椅子のフットサポートのあたりでうずくまるようにしていた。靴は片方が脱げている状態で、車椅子のブレーキはかかっていなかった」などのように具体的に

〇痛みや受傷部位(骨折など考えられる状態も含めて)

〇受診の必要性

になります。

 時系列に状況を整理しておくと良いでしょう。

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事故発生後の対応② ご家族への連絡と謝罪

 状況が確認できたら、ご家族へ連絡をします。

 連絡の際には…

事故の状況を正確に伝え、素直に謝罪します

 まずは事実を伝え、きちんと謝罪をしましょう。こちら側に過失があるかに関わらずご利用者本人に痛い(辛い)想いをさせてしまったこと、ご家族にご心配をかけてしまったことに対しての謝罪です

(連絡の具体例)

相談員:「お忙しいところ失礼します。特別養護老人ホームクズきちの〇〇です。今、少しお時間よろしいでしょうか?〇〇様の状態についてご連絡させて頂きました。〇〇様ですが、本日の〇〇時頃、〇〇(場所)で転倒されている事を発見いたしまして、今現在の状態についてのご報告になります。左の太もものあたりの痛みを強く訴えられていまして、少し動かすだけでもかなり痛い様子です。骨折の可能性もありますので、受診をさせて頂きたいと思っております。この度は、ご心配をおかけし、大変申し訳ございません。」

 このような形になります。この後の話の進め方は、ご家族の反応によって異なってきます。

ご家族がある程度ご理解されている場合

 連絡の際に

ご家族:「こちらこそご迷惑をおかけしてすみません。自分で動くからね。仕方ないと思います。かえってすみませんね。ありがとうございます。」

 といった具合の反応であれば、ご本人が自分で動かれること、それにより転倒リスクが常にあること施設がきちんと対応してくれていること理解していただいていると考えられます。

 この場合ですと

相談員:「ありがとうございます。痛みも強いので、これから受診になると思いますが、骨折などで入院や手術が必要となった場合、ご家族にも病院に来ていただく必要がありますので、その際はまたご連絡させて頂きます。この度は、ご心配をおかけし、申し訳ございませんでした。また経過をご連絡させて頂きます。失礼いたします。」

 このような対応になります。ご家族が、最初から受診に付き添えるようであれば、そのようにお願いしましょう。

ご家族が納得されていない場合

 最初の連絡内容では、すぐに納得いただけないケースもあります。

ご家族:「なんでそんな事になったんですか。ちゃんと見ていなかったんじゃないんですか?骨折でもしてたらどうするんですか。」

 などとお話あった場合です。

 このような場合、ご家族は感情的になられている状況ですので、無理に収めようとするとかえって逆効果になります。事実確認で把握した事故状況を落ち着いて具体的にお伝えします。

相談員:「(確認した事実を具体的に) 左半身を下にしている状態で、ベッド脇にある車椅子のフットサポートのあたりでうずくまるようにして倒れておりました。靴は片方が脱げている状態で、車椅子のブレーキはかかっていませんでした。ご本人はトイレに行きたかったとお話されていましたので、ご自分でどうにかトイレに行こうとされたようです。私たちもすぐに気づくことができず、申し訳ありませんでした。」

 ご家族がその状況をイメージしやすいように、具体的にお伝えします。

 相手の感情的な言葉や強い口調に対しては、話す自分も声が大きくなったり、話し方が早くなったりしてしまうので、焦らずゆっくり話すことを意識しましょう。

 この会話の中で、

「ご利用者自身の意思で動かれたこと」 「施設側が常に完全に見守りができる状況でないこと」

 この2点が「伝わっているもしくは、なんとなく理解してくれている」状況になれば大丈夫です。

それでも気持ちが収まらない場合

 それでも気持ちが収まらないご家族も中にはいらっしゃいます。これ以上の説明は現段階では難しく、理屈を並べたところで、解決にはなりません。

 そのような場合は、この先の段取りについて説明を行い、後程再度連絡させて頂くことをお伝えします。

相談員:本当にご心配をおかけして申し訳ありません。これから受診になると思いますので、こちらで対応させて頂き、またご連絡をさせていただきます。手術や入院等が必要になる場合、ご家族にも大変お手数をおかけしますが、来院等をしていただく必要が出てまいりますので、その際も改めてご連絡差し上げます。申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

 これで一旦、電話を終えましょう。

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事故発生後の対応③ 施設長など管理者への報告

 管理者に事故発生の状況報告とご家族へ連絡した際の反応などについて報告を行います。

 管理者への報告は、適宜行うことをオススメします。

現時点での判断に誤りはないかを確認 この先の手順にアドバイスをもらう

 これらを確認するためです。また、一人で判断して進めてしまうと、視野が狭くなりがちになり、判断を誤ってしまう可能性があるからです。

 これは、自分を守るためでもあります。

 そして、施設で加入している保険の適用についても確認しておきましょう。

 「過失」か「過失でない」か、受診費用や入院費などについて、必要であればご家族に説明する準備をしておく必要があるからです。

事故発生後の対応④ 受診の対応

 受診が必要な事故の場合、ご家族が受診に付き添われるようであれば、相談員も受診対応に同行しましょう。改めて説明を謝罪を行うためです。

 事故後の連絡で、ご家族とお話した内容は、受診前に職員間で共有しておきます。

 しかし、実際にご家族と受診時にお話するのは、ご家族の心情や言葉のニュアンスなどの観点から、細かい部分にまで配慮してご家族とお話しできる相談員が対応する方が適切だからです。

 また、受診結果やご家族とのお話の中で、保険等の話になった場合も相談員がその場にいた方が、話がスムーズに進みます。


 ご家族が受診に付き添わない場合は、事業所に残り状況の整理を記録の確認を行います。

 事故後のご家族とのやり取りは、受診対応する職員にきちんと伝えておき、万が一受診先にご家族が来られた場合には、すぐに連絡を受けられるようにしておき、受診先へ向かいましょう。

事故発生後の対応⑤ 受診後の対応

 受診後は、受診結果をご家族に伝えます。

 その際、改めて事故に対する謝罪とご心配をおかけしたことに対するお詫びをお伝えします。合わせて、今後のご本人への関わり方についてお話しますが、「動かれる時は必ず付き添う」や「転倒しないように見守る」など、体制的に不可能な事は避けましょう。

 ご家族にも

動く以上は転倒リスクがあることを理解してもらう必要があるからです

 この事については、ご家族にもご理解を頂かなくてはなりません。

 ここ↑がご理解頂ければ、余程不適切なケアを行わない限り大丈夫です。

事故対応ポイントまとめ

 事故発生時のご家族への対応で一番大切なのは、スピード感を持って行動する事です。時間が経過するほど、事実が捻じ曲げられ、家族の不信感も強まります。

 そして、丁寧すぎるほど丁寧に対応する事です。たとえ過失がなかったとしても、ケガをさせられたご家族の心情に寄り添う姿勢が求められます。

 自分たちは悪くないという感情は、いともたやすく相手に感じ取られてしまいます。特に当事者となった職員や介護現場の職員は、そういう感情に陥りやすいので、きちんと生活相談員が間に入って冷静に対応する事が重要です。

事故が起こる前にやっておくべきこと

 事故が起こる前にもやっておくべき事があります。

 人が動く以上、転んだり落ちたりすることはあり得るという事ご家族にきちんと理解しておいてもらうことです。

 健康な人間でも転ぶことはあります。私もご家族も同じです。動く以上は転ぶ可能性があるんです。しかし、いざ入所となると「絶対に転ばせないでください」とか「転倒にはくれぐれも注意してください」といった要望をいただくことがあります。

 私は、このようなご要望に対しては、はっきり「無理です」と答えます。そして、施設の職員体制、ご本人の状態から考えられる転倒リスクについてお話し、ご理解して頂くように努めます

 転倒・転落アセスメントスコアシートなどのツールを使用して説明するのも良いでしょう。

 もしご理解頂けないようであれば、「ご希望に沿える施設をお探しください」と断ります。

 これは、介護の現場や施設を守るためです。


 日頃のご家族との関わりも重要です。ご家族にお会いしたときや電話での対応の際の言葉づかいや態度が適切であれば、転倒などの事故が起こった時でも「いつも丁寧に対応してくれている」「あの施設の職員さんだったら」と想っていただく事ができます。

 日頃の対応が悪ければ「やっぱり」「信用してなかった」と逆もあり得るという事ですが…

 日頃の接遇についても大切にしていく必要があります。


 事故発生時などの場面では、生活相談員は現場とご家族との間に立って、調整していかなければならない立場です。

 ご家族の気持ちに配慮しつつ、介護現場や施設を守る行動も求められ、非常に精神的な負荷がかかります。

 今回の記事を参考にして頂き、事故発生時にも冷静に対応できるよう参考にして頂けたら嬉しいです。

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