【今さら聞けない】R3年度介護報酬改定 看取り介護加算と看取り介護の考え方

介護保険情報
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 皆さんこんにちは、「福祉のクズきち」です。令和3年度介護報酬改定から5か月が経過しました。今回は、今さら聞けない「看取り介護加算」について解説していきます。

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そもそも「看取り介護」とは?

 そもそも「看取り介護」とは何か?

 看取り介護とは、人が自然に亡くなっていくまで、必要なケアを行いながら見守る過程のことです。

 「死期」が近づくことにより生じる様々な苦痛を緩和し、最期の日まで寄り添うケアのことです。

看取りの時期とは?

 では、「看取り期」とは具体的にどのような状態になった時のことなのかを確認していきます。

介護保険制度における看取り期とは

✅医師が、医学的に回復が見込めないと判断したときに、概ね余命が6か月程度であって、老衰または病気の末期であり、あらゆる治療も病気の治癒に対して効果がない状態のことを言います。

日本老年医学会における高齢者の終末期

✅病状が不可逆的かつ進行性で、その時代に可能な限りの治療によっても病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり、近い将来の死が不可避となった状態です。

 いずれの解釈も病状や老衰に対して、あらゆる手段を尽くしても回復する見込みがない場合に、人として自然のまま亡くなっていく時期を看取り期というようです。

ターミナルケアとの区別

 「看取り介護」と並んで「ターミナルケア」という言葉がありますが、このふたつは、次の点において区別されることがあります。

✅ターミナルケアは「終末期医療」などと訳されるように、点滴や酸素吸入などの医療的ケアが中心となります。
✅看取り介護は食事の検討や身体の保清、褥瘡予防など日常生活におけるケアが中心となります。

この点において違いがある事を覚えておきましょう。

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介護報酬改定における看取り介護加算に関する事項

 令和3年度の介護報酬改定における看取り介護加算に関する事項や算定要件等について確認していきます。今回のポイントとしては、よりご本人やご家族の意思を尊重した看取り介護を行うことに重点が置かれたところにあります。

 施設での看取りが当たり前に行われるようになった中で、ただ看取るだけではなく、ご本人やご家族にとって「安心できる」「満足できる」看取りが実施できるよう求められるようになってきています。そこで今回取り上げられたのが「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」です。

看取り介護加算の変更点

〇現行の死亡日以前30日前からの算定に加え、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける

厚生労働省 「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」より

〇特別養護老人ホームにおける中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算の算定要件の見直しを行う

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン

 厚生労働省のホームページによると、平成19年にとりまとめた「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は、平成18年3月に富山県射水市における人工呼吸器取り外し事件が報道されたことを契機として、策定されたものです。

 人生の最終段階における医療の在り方に関して、

・ 医師等の医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行った上で、患者本人による決定を基本とすること

・ 人生の最終段階における医療及びケアの方針を決定する際には、医師の独断ではなく、医療・ケアチームによって慎重に判断すること

        などが盛り込まれています。

「看取り期」の医療・ケアの方針決定について

(1)本人の意思の確認ができる場合

①医療従事者から適切な情報提供と説明がなされた上で、十分な話し合いを踏まえた本人による意思決定を基本と すること。

②本人の心身の状態や医学的評価の変更等に応じて、本人の意思が変化する場合もあることを理解すること。

③本人が自ら意思をつたえられない状態になる可能性も考慮し、家族等も含めた話し合いが行われることが必要とされています。

(2)本人の意思の確認ができない場合

①医療・ケアチームによる慎重な判断が求められます。

②家族等が、本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとって最善の方針をとることを基本とされています。

③家族等が、本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるか、家族等と十分に話し合い、本人にとって最善の方針をとることを基本とします。

看取りのプロセスをきちんと記録する

 ケアの方針決定に関するプロセスについては、その話し合った内容を文書にまとめ、記録しておくことが求められます。

⇒本人の意思、家族等の意向、各職種などの意見を踏まえ、どのような経過でその方針となったのかが分かるようにするためです。

⇒会議に参加していない職員も、看取りのプロセスを把握しておく必要があります。

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看取り期における支援のポイント

ご本人の意思やご家族の想いを支援

⇒意向に沿える沿えないに関わらず、まずはその想いを受け入れる

⇒意向について対応できるかきちんと検討する

⇒検討した結果をきちんとご本人やご家族へ説明し理解を得る

⇒検討した過程を記録に残す

事業所の対応や都合を押し付けないように配慮

 施設の業務都合で、「看取り期」になったからといって、すぐに極端な対応へ変更する必要はありません。ご本人の意思や状態、ご家族の気持ちなどを汲みとった関わりが必要です。

例)外へ出る事が好きだったご利用者。看取りになったから、ベッドから起こさなくていいのか?

 ⇒体調が良い日など、離床して外へ出てみる事を検討する。離床できる体調の目安などが示されていれば、安心して対応できる。

例)いつも美味しそうに食事をしていた方が、看取りになった日から食事提供をストップされる。

 ⇒負担のない食事の内容やできる工夫がないか検討する。

看取り期おける職員の姿勢

〇検討したり、工夫した結果として対応ができなかったとしても、ご本人の意思や家族想いに応えようとする姿勢が大切です。

〇検討した内容を記録しておくことで、自分たちがその方の看取りに真摯に向き合ってきた証明となります。

〇ご本人、ご家族、職員、皆がここで最期を迎えられて良かったと思えるような看取りを考えていく事につながります。

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