【高齢者虐待防止】「不適切なケア」につながる介護職員がついつい使ってしまうNGワード

介護福祉士
スポンサーリンク

 こんにちは『福祉のクズきち』です。

 以前の記事で、「不適切なケアに」について解説させて頂きました。

 「不適切なケア」が、なかなか改善されない状況の中では、職員間で使っている「言葉(ワード)」にも注意を向ける必要があります。

 忙しい業務の中で、自身の言動をふり返ることなくケアを行っていると、記録や職員同士の会話の中に、「不適切な言葉」が含まれる可能性が高くなります。

 今回は、介護現場の中でついつい使ってしまいがちなNGワード について解説していきます。

スポンサーリンク

「不適切なケア」につながるNGワード① 『認知がある』

 『認知がある』という表現は、認知症の症状がある方についてお話するときに、しばしば使われてしまうNGワードです。

 この言葉の問題点は、その方の認知症の症状を『認知がある』という表現だけで片付けてしまう危険性がある事です。

 認知症の中核症状や周辺症状は、認知症の分類やその方々によって異なっています。しかし、この『認知がある』という言葉だけで済ませてしまうと、認知症の症状を『認知がある』という言葉を聞いた職員の個人イメージに委ねてしまう事になります

 情報として、共通認識を持つことが難しくなります

 そもそも「認知」とは…

①事象について知ること、ないし知識をもつこと。広義には知覚を含めるが、狭義には感性に頼らずに推理・思考などに基づいて事象の高次の性質を知る過程。

②〔法〕嫡出でない子と父または母との間に法律上の親子関係を成立させること。普通は父が戸籍上の届出をして認知するが、子の訴えにより裁判所が判決で認知することもある。なお、母との間では出生の事実により当然に法律上の親子関係が成立する。

 この意味からしても、認知症ケアを実践するプロとして、認知症の症状がある方を『認知がある』などという表現をする時点で失格であることを自覚すべきでしょう。

スポンサーリンク

「不適切なケア」につながるNGワード② 『問題行動』

 認知症の周辺症状(BPSD)に関してよく使われてしまうNGワードが『問題行動』です。

  多くは、「徘徊」「攻撃的な言動」「不潔行為」などに対してこのような表現で済まされている事があります。

  介護をする側が介護に苦慮する行動という意味で使われている事が多く、介護する側の視点にであって本人視点ではない表現です。

 そして、

その「行動」の意味を理解しようとする事をやめてしまう危険性があります

 周辺症状(BPSD)は、認知症の中核症状に身体的な要因や心理的な要因、環境など様々な要因が加わって起きる症状です。

 これらの行動に対して画一的な対応を行っても基本的な問題解決にはなりません。その原因を知り、対処する方法を考えなければ根本的な解決に至りません。

 それらの分析をせず、「問題行動」で済ませる事こそ「問題」なのです。

スポンサーリンク

「不適切なケア」につながるNGワード③ 『拒否』

 入浴や食事などの場面で、入浴したくない気持ちや食事を食べたくない気持ちをうまく表現できず、その介助を拒むような様子が見られた場合「入浴拒否」「食事拒否」などと言われます。

 介護を行う側から見た視点では、そのような表現になってしまいがちです。

 しかし、介護を受ける側にそもそも選択する余地はあったのでしょうか

 介護業務の時間軸に価値が置かれていると、

ご利用者自身が望んだり、選択することができなくなります

 「拒否」という行動をしたご利用者は、今そのケアを受けることに不快感を感じているかもしれません。特に認知症の方は「感覚記憶」は残ると言われています。

 「嫌だ」「行きたくない」「やりたくない」状態で、無理やり介護を提供することは、その行為に負の感情を植え付けることになり、その後のケアにも影響してきます。

 「問題行動」と同じく、その「理由(ワケ)」を見つけるのが介護のプロです。

「不適切なケア」につながるNGワード④ 『不穏』

 ご利用者が落ち着かなかったり、突然大きな声を出したりする様子を『不穏』と表現していませんか?

 「怒る」「悲しむ」「涙する」、これらは人間であれば当然の感情表現です。しかし、介護する側とされる側という立場になった途端に、それらの感情表現は「不穏」にされてしまいます

ご利用者は、いつも落ち着いている「良いご利用者」でいる事を求められるのです

 ●「不穏」になるからお部屋に居てもらおう

 ●「不穏」になるから予定は伝えないようにしよう

 そのような対応をしていませんか?

 「きちんとお話を聴く」「ケアを行う以外にも声をかける」基本的な関わりを大切にしていきたいですね。

「NGワード」に潜む介護の危険性

 ここまで「NGワード」と紹介してきましたが、では、なぜこれらの表現を使うことがいけないのでしょうか?

 それは…

介護職員としての思考を停止してしまうからです

 今まで紹介してきた「NGワード」は、ご利用者のあらゆる状態や行動、気持ちを「簡単に表現」してしまう言葉です。忙しい業務の中では、手軽に様子を伝える事ができる「お手軽ワード」になってしまいます。

 「昨日も入浴拒否したって。」

 「不穏だから声かけないでそっとしておこう。」

 これでは、本人にとって介護にとっても何も解決にもなりません。「理由(ワケ)」を知ろうとしないからです。

 そして、継続的に「NGワード」が使われることで、「やっかいな人」「困った人」としか見れなくなります。

 小さなことかもしれませんが、この瞬間から「NGワード」を禁止しましょう。

心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる

 と言われています。介護のプロフェッショナルとして、ご利用者のために行動していきましょう。

タイトルとURLをコピーしました