こんにちは、『福祉のクズきち』です。
昨日、厚生労働省より発表された全国の福祉施設で起きた新型コロナウイルスのクラスター件数は..
全国で3000件を超える福祉施設でクラスターが発生しています。
この中で最も多いのが高齢者施設で、1919件。次いで児童福祉施設が858件、障害者福祉施設が330件となっています。高齢者施設が、全体の62%となっています。
福祉施設は、この2年間懸命に感染予防に努めてきました。
しかし、感染力の強いデルタ株の流行に合わせて状況が悪化し、増加傾向に転じています。最近では児童福祉の分野での感染が広がっているようです。
9月1日の有識者によるアドバイザリーボードでは、
「高齢の感染者や高齢者施設のクラスターが増加している」
と指摘されています。
実は、私が働いている施設もクラスターを経験している施設です。今回は、今後の教訓のため、クラスターが発生した時の状況と、今なお続くその影響についてお話していきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の渦中で、福祉施設が懸命に戦っている現状を、ぜひ多くの人に知って頂きたいという想いで今回記事を書かせて頂きますので、ぜひ最後まで読んで頂ければと思います。
福祉施設でクラスターが発生した状況
まずは、施設でクラスターが発生した時の状況についてお話していきます。
当時は、現在ほどの感染拡大状況でない中でありましたが、県外への外出の原則禁止、不特定多数が集まる場所での飲食の禁止、体調不良者は即退勤して受診など、出来る限りの対策を講じながら施設を運営していました。
感染発生のきっかけ
保健所から最終的にどこから発生したのかという結果は明言されませんでした。
ここでお話するのは、感染が発生したと思われる状況についてお話します。
感染の始まりは、職員の家族がPCR検査対象者となり、その結果陽性となったことでした。
当該職員は、家族の陽性が確認される2日前まで勤務。発熱や風邪症状なし。陽性だった家族は、入院のために病院で行ったPCR検査にて陽性が判明。その家族は、入院前から微熱や多少の息苦しさがあったが、県外への移動や会食などの事実はなく、感染経路不明。
職員含め、家族全員が濃厚接触者となりPCR検査を受けることになりました。この連絡を受けた時点での主な対応は、
●ご利用者全員を居室での対応
●朝昼夕の検温の実施や職員の体調管理の徹底
●施設内の消毒を開始
その他、考えられる感染対策を行い、万が一の場合に備えました。
職員を含めた家族の検査結果は、陽性者1名。
しかし、当該職員は陰性の判定で、症状もなしでした。ひとまず一安心でしたが、感染の可能性は拭いきれないため、当該職員はしばらく休みとし、感染対応もしばらく継続となりました。
感染拡大が始まる
感染対応継続のため、検温をしている中で、当該職員が勤務していた部署のご利用者で、発熱者が複数人確認されるようになりました。当時、抗原検査キットなどの準備がなく、施設だけでは新型コロナウイルスかどうかを判断する術はありませんでした。
急いで業者に抗原検査キットを発注するも、在庫不足により2日後以降の納品になるという状況でした。ちなみにインフルエンザの簡易検査は陰性でした。
新型コロナウイルス感染の可能性があるため、保健所へ施設の状況を伝え、当該職員のPCR検査の再検査を依頼しましたが…
「何の医学的根拠もない状況で、再検査はできない。」との保健所の回答。
当時、私たちの都道府県ではクラスター施設の事例がほとんどなく、県内の感染者数もそれほど多いわけではなかったためか、何度か説明しても同じ回答でした。
結果的に、嘱託医が何とか工面し、嘱託医から当該職員のPCR検査を実施して頂けることになりました。しかし、その結果が出るのは早くて翌日もしくは明後日ということでした。
職員、ご利用者、皆が不安の中で2日間を過ごすことになりました。連日の消毒や居室対応、ご利用者や職員の体調管理を徹底しながら、その結果をひたすら待つという状況に、精神的な負担が大きかったことを覚えています。
当該職員のPCR検査の結果は…
陽性でした。他の家族も2名が陽性となり、家族内感染が広がっていた事実が判明。見過ごされていたままだったら、市中感染が広がっていた可能性もありました。
そして、施設での状況…
検査結果を待つ間にも発熱するご利用者が増えてきていた中での陽性診断。
絶望する職員、気持ちを入れ直す職員、自分の家族へ連絡する職員、マニュアルを確認する職員、様々な気持ちが渦巻く中、戦いの日々が始まろうとしていました。
おわりに
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
今回は「感染発生編」という事で記事を書かせて頂きました。
テレビや報道では、とても簡単に「クラスターが発生しました。」と言われます。そしてその表面上の情報だけで、批判したりする人もいます。
しかし、しっかりと感染対策をしていても、国民全員がきちんと対策をしていなければ、クラスターを防ぐことはできません。
この記事を通じて、クラスター発生が他人事でなく自分事として考えて頂くきっかけになればと思います。
次回は、絶望の「感染拡大編」をお送りします。次回配信までしばらくお待ちください。