【重要】介護施設におけるBCP(業務継続計画)の重要性と策定のポイントについて解説

介護保険情報
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 こんにちは『福祉のクズきち(@kuzukichi_2439)です。

  令和3年度介護報酬改定の中で、度重なる自然災害や新型コロナウイルス感染拡大の現状を受けてBCP(業務継続計画)の策定が義務付けられました。

 策定には、相応の準備等が必要となるため3年の経過措置が設けられていますが、2024年度には完全義務化されます。

 経過措置が設けられているとはいえ、新型コロナウイルスは感染拡大と縮小を繰り返しており、いつまた次の波が押し寄せてくるのか分かりません。ですので、早めに策定の準備に取り掛かる必要があります。

 私の施設は、昨年度に新型コロナウイルスのクラスターを経験しました。その影響は今も続いています。

 当時は、クラスターが発生している施設も少なく、「どう行動すればいいのか」「何が必要なのか」全くわからない状況でした。

 目に見えないウイルスの恐怖、混乱する現場、いつ自分が感染するかわからない不安…

 不安から勤務できない職員や不足する備品、増える感染者など、メンタルを保つことで精一杯の状況は、今思い出しただけでもその時の精神的な苦痛が蘇ってきます。

 BCP(業務継続計画)は、そんな状況に備え、万が一の時にも冷静に適切の対応するために必要な計画です。クラスターを経験しているからこそ、その重要性について理解しています。

 今回は、BCP(業務継続計画)策定における重要性とそのポイントについて解説していきます。

※今回の記事は、厚生労働省『新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン』を参考にしています。⇒https://www.mhlw.go.jp/content/000749533.pdf

【要確認】令和3年度介護報酬改定 LIFEへの登録 ~登録ハガキ到着後の手順を画像で解説~

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高齢者施設におけるクラスター発生状況

 厚生労働省は、10日(令和3年11月10日)に、これまで高齢者施設で発生した新型コロナウイルス感染症のクラスター件数を発表しました。

 11月8日の時点で、全国で2,039件、直近1週間では2件と今年最少となりました。

 全国的な感染者数の減少、ワクチン接種者の増加、施設における感染予防対策の徹底が要因として考えられます。しかし、感染拡大の波が、次いつ襲ってくるのか分からない状況の中で、BCP策定については、早めに検討しておく必要があります。

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BCP(業務継続計画)とは何か

 BCP(Business Continuity Plan)の略で、自然災害や感染症の蔓延等の不足な事態が発生しても、重要な事業や業務を中断させないこと、また中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことです。

 感染症が発生すれば、通常の業務を縮小せざるを得ません。一時的に業務が滞る部分もあります。そのような状況下でも、影響を最小限に抑えること、1日でも早く通常業務を回復させることなどを目的に策定されます。

 感染発生時の初動対応やゾーニングなどの方法については、マニュアルなどで細かく設定します。

 BCP(業務継続計画)は、そのための体制や考え方、必要な備品などについての概要を取りまとめたものになります。

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介護事業におけるBCP(業務継続計画)の重要性について

 介護事業に関しては、ご利用者やその家族を支える上で欠かせない存在であり、不測の事態が起きた場合でも、適切な対応を行い、その後もご利用者に必要なサービスを継続的に提供できる体制の構築が求められます。

感染拡大が起こってしまってから考えていては、手遅れになります

 特に特別養護老人ホームなどの入所施設は、事業を中止することができません。感染しているか分からないご利用者を、自身も感染しているかもしれないと不安を抱えながら業務に携わることになります。

 職員が減っていく中で、どう体制を構築すればいいのか、どれくらい備品が必要なのかを考えて行動する余裕など全くありませんでした。

 不測の事態が起こった時でも、事前に計画と訓練をする事で、落ち着いて対応することができると思います。

BCP(業務継続計画)策定のポイント

 ここからは、BCP(業務継続計画)策定のポイントについて整理していきます。

 自身の経験も踏まえて内容をお伝えしていきたいと思います。

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厚生労働省『新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン』より引用

 内容としては、上記のポイントを考えながら策定していくことになります。

 クラスター施設という事で、他の施設から対応やBCP策定にあたりご連絡を頂くこともありましたが、どの施設も現状いる人員が、全て残っている前提で検討されていました。これは、非常に危険です。

 クラスターが発生すると…

全職員が残ってくれるわけではありません

 家庭の事情や自身の病気などの理由で、クラスター施設では勤務継続が難しい職員が出てきます。

 また、施設の対応への不満や感染拡大環境下での精神的負担により、勤務をしない職員も出てきます。そして…

職員の中でも、感染者が発生します

 クラスター施設は、ゾーニングしたとしても、施設全体がレッドゾーンのような状態です。職員にも、感染する職員が出てきます。感染が確認されれば、症状が無くても隔離されます。

 私の施設では、合わせて15名以上が勤務できなくなりました

 職員数が確保されない状況下を想定しておくことが重要です。

ポイント① 体制の構築と指揮系統の確認

 まず施設全体、相談員、介護、看護職員の各部門における責任者の選定施設全体の指揮系統の確認をします。

 感染が発生すると、ご利用者の体調、ご家族への連絡、搬送先との調整、保健所とのやり取り、行政とのやり取りなど、様々な対応と情報で溢れかえります。

「どの部門がどれを担当するのか?」「判断・指示するのは誰か?」など明確にしておく事が必要

 それぞれの責任者も感染する可能性はありますので、その場合の人選もしっかりと行っておきましょう

 そして大切なのが情報の共有です。

今どういう状況で、誰の指示でどう動いているのか

 これが曖昧になると現場が混乱します。

 実際に十分な情報が伝わらない事で、ご利用者に対しての対応が不十分になり、不安を感じる職員がいたり、不満を爆発させる職員もいました。

 情報共有については最低でも…

1日2回は各部門の責任者が情報を共有する時間を決めましょう

 内容については、以下のようなものを含めると良いと思います。

 ○感染したご利用者の累計、搬送先の病院

 ○その日に感染したご利用者の累計、搬送先の病院

 ○感染した職員の累計、療養先の確認

 ○その日に感染した職員の累計、療養先の確認

 ○保健所からの指示内容 ※次回のPCR検査予定など

 ○現在実施すべき感染対応            

ポイント② 感染防止のための取り組み

 クラスターの影響を最小限に抑えるには、早期発見早期対応が重要です。

 感染の可能性があるご利用者や職員の早期発見、発生した場合の速やかなゾーニングなど施設の状況に合わせて検討しておくことが必要です。

 『初動対応』『感染発生時』の2つのパターンで動きを確認できるようにしておきましょう。

ポイント③ 備品の確保

 感染発生、クラスター発生時は、備品があっという間に無くなります。

 マスク、消毒液、ガウン、フェイスシールド、使い捨て食器等は十分に備えておく必要があります。

 クラスターが発生した場合、最低でも2週間~1か月くらいは続きますので、施設の規模に合わせて1日に必要な量を確認し、準備しておきましょう。

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ポイント④ 研修と訓練の実施

 全国的に感染が収束してくると、感染への意識が薄れてきます。初動対応やガウンテクニックなど、私も忘れていることがあります。

 また、職員の感染への意識低下から、フェイスシールドや手指消毒などがおろそかになることもあります。

 定期的な研修、訓練が必要になります。

 厚生労働省のホームぺージにも、研修動画や研修資料が掲載されていますので、参考にすると良いと思います。

 厚生労働省研修ページはこちら⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html

まとめ

 BCP策定は、3年の経過措置があっても早めに準備しておく事をおすすめします。

 ポイントは…

〇体制の構築と指揮系統の確認

〇感染防止のための取り組み

〇備品の確保

〇研修と訓練の実施

 感染症は、いつその猛威をふるうのかわかりません。今回の記事が、策定のお力になれれば嬉しいです。

 最後までお読み頂きありがとうございました。

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