福祉のクズきちの研修シリーズ③ 『施設のプライバシー保護に関する研修』
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プライバシーとは?
●プライバシー
個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉、侵害を受けない権利。
個人的な日常生活や社会行動を他人に興味本位に見られたり、干渉されたりすることなく、安心して過ごすことができる自由。
●プライバシーの侵害
私生活に侵入すること。
他人に知られたくない私事を公開すること。
事実の公開により他人に自己の真の姿と異なる誤った印象を与えること。
氏名や肖像を他人が利得のために流用すること。
介護現場におけるプライバシーとは?
高齢者介護が直面するプライバシーについて少し考えてみましょう。
日常生活において、自分のことが自分出来なくなり、やむなく介護を必要とする状態に陥ります。
① 事故防止を目的に行動を監視される。
② 入浴の際、裸を職員に見られる。
③ 排尿や排便をしている(失敗する)姿を監視される。
④ 送迎時、部屋の中まで職員が入ってくる。
⑤ 入所すれば生活全般の行動が監視される。
⑥ 個人の自由な行動が制限される。
介護をお願いするということは、自分の体や生活の場を他人に見られ、干渉されることで、精神的な苦痛を味わうことが多々起こるということです。
介護に携わる者として、そのことを理解し、要介護者のプライバシーが侵害されないよう配慮することが必要です。
要介護度とプライバシーの関係性
ご利用者が重度化するほど、個々のプライバシーはなくなっていきます。
自立している高齢者
人は老化に伴い、身体的な機能が低下していきます。歩行が遅くなったり、少しの段差でつまずいたり、日常生活において心配なことも多くなるでしょう。
周囲の人たちから見れば、転んだり怪我をすることが心配で、ついつい「無理しないで」とか「大丈夫?」と声をかけたくなってしまいます。
過度な干渉には至りませんが、言われるご本人にとっては「干渉しないでほしい」と言う気持ちがある場合もあります。
要支援の高齢者
自立している高齢者に比べて、見守りが必要になる場面が出てきます。
ある程度日常生活で自立していても、何度も心配されたり、過度に干渉されると不快に思うかもしれません。
過剰な安全確認や出来ない前提の対応は、その利用者のプライバシー(日常生活の干渉)を阻害することにもなると理解しましょう。
介護を必要とする要介護1~2の高齢者
介護を必要とする場面が増え、プライバシーの侵害が大きくなっていきます。
入浴や排泄時の見られたくない姿をさらすことになります。介護を拒否される様子は、「恥ずかしい」気持ちからであり、本人のわがままではありません。
トイレ介助時に介護職員が「終わったら教えて下さいね。」「立ったら危ないから呼んでくださいね」と伝えその場を離れました。結局、呼んでもらえず、トイレで転倒していました。「だから危ないと言ったのに!」
私たちは「高齢者は自分が危ないことをわかっていない」と決めて対応している場合があると思います。しかし、恥ずかしい、干渉されたくない、人に迷惑をかけたくないという理由から、自分で解決しようという行動である可能性も理解する必要があります。
本人が気にならない距離からの見守りで、安全とプライバシーを確保したり、なじみの関係が構築されることで事故は減らすことができます。
日常的に介護を必要とする要介護3~5の高齢者
車いすや歩行介助が必要となり、どこに行くにも職員の確認と介助が必要になります。認知症が重度化すれば、行動すべてに見守りや監視が必要になります。
入浴では体を見られ、洗われます。おむつの着用により、排泄物を職員に見られます。ポータブルトイレが置かれ、室内環境が介護優先になります。
送迎時やヘルパー利用時には、寝室に入られ、私生活の場を他人に見られます。施設に入所すれば、共同生活となり、時間の区切られた自由の少ない環境で過ごすことになります。
ご利用者のプライバシーは全て侵害されていることを意味します。
我々職員は、高齢者のプライバシーを理解し仕事に取り組まなければなりません。利用者は苦痛に耐えならがら過ごしている状況が多々あるということです。
我々は、上手に声かけし、丁寧な介護を提供し、信頼される人間関係を構築することで、不穏や問題行動を減らし、介護事故やトラブルを防ぐことができます。介護の質には、家庭で過ごすような安心感が求められているのかもしれません。
要介護の高齢者へのプライバシーへの注意点
介護の仕事は…
できないから、あぶないから、わからないからと決めつけ、強い口調で注意したり、介護をしてやっているといった態度をとってはいけません。
まとめ
ご利用者のプライバシーに、常に配慮する姿勢は大切です。
職員は要介護者の安全や見守りを 優先させるがために、プライバシーを侵害してしまいます。
介護を受ける高齢者が、どれだけ精神的な苦痛を感じずに、家庭で過ごしているかのような安心し た気持ちで過ごせるのかが重要な課題となります。
安心できる声かけや精神的負担を少しでも軽減できる対応を心がけていきましょう。
『個人情報保護に関する研修』については、こちらをチェック。