福祉のクズきちの研修シリーズ④ 『施設の身体拘束に関する研修』
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身体拘束の研修を行う目的
●身体拘束は、高齢者虐待であることを知ること
身体拘束の考え方や基礎知識を学び、身体拘束ゼロに向けた取り組みを行う
●共感すること、予測することを大切さを学ぶこと
拘束が生む弊害やご利用者・ご家族に寄り添う気持ちを学ぶ
●自身のケアや施設のケアの在り方を見直す機会
自らのケアをふり返り、自己点検すると共に施設のケアが共通の理念や指針に従って運営できているかを見直すこと
身体拘束ゼロを目指して
平成12年4月に、介護を社会全体で支え、高齢者の自立を支援することを目的に介護保険制度がスタートしました。
その際に、身体拘束が禁止され、介護の現場では「身体拘束ゼロ作戦」として身体拘束のないケアの実現に向け、様々な取り組みがなされてきました。
身体拘束がもたらす影響
人権擁護の観点から問題があるだけでなく、高齢者のQOL(生活の質)を根本から損なう危険を有しています。
身体拘束によって、高齢者の身体機能は低下し、寝たきりになる恐れがあります。
さらに、人間としての尊厳も侵され、時に死期を早めるケースも生じることもあります。
介護保険制度で禁止されている身体拘束の具体例
① 徘徊防止のためベットや車いすに胴や手足を縛る。
② 転倒、転落防止のためベットや車いすに胴や手足を縛る。
③ 自分で降りられないように、ベット柵を2本使用したり、高い柵を使用する。または、ベット柵を4本つけて囲む。
④ 点滴、中心静脈栄養、経管栄養等のチューブを抜かないように手足を縛る。
⑤ 点滴、中心静脈栄養、経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をむしらないようにミトン型の手袋を使う。(手足の自由を奪う道具や工夫をする)
⑥ 車いすからずり落ちたり、立ち上がらないように、腰ベルト、Y字抑制帯、テーブルにつける。
⑦ 立ち上がる能力のある人に、立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。(やわらかいソファーなど)
⑧ 脱衣、おむつ外しを防ぐために、介護衣を着せる。(つなぎ服)
⑨ 他人への迷惑行為を防ぐために、ベットなどに胴や手足を縛る。
⑩ 行動を落ち着かせるために、精神作用を減衰させる薬を過剰に使う。
⑪ 自分の意志で開けられない部屋に隔離する。(鍵のかかる部屋に閉じ込める)
身体拘束が問題である理由
身体拘束には3つの弊害があると言われています。
①身体的弊害 ②精神的弊害 ③社会的弊害
身体的弊害
・関節拘縮、筋力低下、褥瘡の発生
・食欲低下、心肺機能や感染症への抵抗力低下
・転倒事故を誘発し、抑制具による窒息死を招く恐れ
精神的弊害
・不安や怒り、屈辱、諦めなど精神的苦痛を与える
・痴呆が進行し、せん妄を頻発させる
社会的弊害
・介護保険制度への信頼失墜
・身体拘束による医療的処置は、経済損失を発生させる
・老年期への不安増大
拘束が拘束を生む「悪循環」
①認知症症状があり、体力的に弱っている高齢者を拘束すれば、ますます体力は衰え、認知症が進む。
②せん妄や転倒など二次的、三次的な弊害を生じ、その対応のために更に拘束を必要とする状況が生み出される。
③身体機能の低下、高齢者の死期を早める結果となる。
安易な身体拘束は高齢者虐待
身体拘束は、基本的には高齢者虐待です。連続する不適切なケアが安易な身体拘束につながる可能性もあります。この不適切なケアについて考えていくことが重要です。
安易な身体拘束を防ぐための考え方
①基本的なケアを十分に行い、生活のリズムを整えること
②利用者一人ひとりの状態に合わせた適切なケアを行うこと
③関わりの中から利用者を「知る」こと
⇒伝えたくてもうまく伝えられない気持ちやサインをキャッチする。
緊急やむをえない場合の対応
●本人への精神的苦痛・身体機能の低下等の大きな弊害
●家族・親族等への精神的苦痛、ケアを行う側の士気の低下
まとめ
身体拘束は、原則高齢者虐待となります。
リスク管理や職員の業務を優先するあまり、安易に身体拘束につながる行為や不適切なケアが常態化していないか、チェックしていくことが大切です。
『高齢者虐待に関する研修』については、こちらをチェック!
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